資金繰りは「なんとなく見えている」時が最も怖い

事業の数字にこだわっていくとその先に人の動きがあります。
売上を取るために売上のことを考えていても、売上は上がりません。
数字にこだわるからこそ、そのプロセス、そして社員の役割、動きにこだわります。
中小企業の経営者のための経営コンサルティングをおこなう長野謙です。

◆見えない敵、中途半端な噂が最も怖い

平家物語の中に「富士川の戦い」というものがあります。

富士川を挟んで平家と源氏が対峙します。

平家側は夜、水鳥が一斉に飛び立った音に驚いて一斉に逃げ出してしまいます。

実は戦場である富士川に着く前に、平家側は関東武士(源氏側)がどんなに強くて、強固な精神力を持っているか、というのを噂しながら戦場に向かっています。

まだ見ぬ敵に、みんな勝手に想像を膨らませ、そして水鳥の音に「夜討ちか!?」と勘違いして我先に逃げ出してしまうのです。

「見えないと怖い」という話を聞くと、私はいつもこの平家物語の話を思い出します。

ビジネスノウハウで「ToDoリストを書き出しましょう」というものがあります。
まあ、今日やるべきことを箇条書きに書き出しましょう、という話です。

頭の中で考えていると、「あれも」「これも」やらなくては、と冷静さを失ってしまいます。

感情的な過大評価が、冷静な思考を難しくする。
たくさんの問題を脳の中だけで処理できると思ってはいけない。

「脳と気持ちの整理術」築山節著

◆資金繰りが頭にこびりつくと冷静さを失う

経営者が最も頭を悩ませる、気持ちを不安にさせるのは資金繰りだと思います。

これに囚われた経営者は本当に頭にお金のことがこびりついて、冷静な思考を失います。

本来、経営者はとても能力の高い人たちです。ビジネススキルも、精神的にも強い人でないと、会社経営なんて絶対出来ないはずなのです。

にもかかわらず、そんな優秀な人たちが、資金繰りに心を奪われてしまうと冷静さを失ってしまいます。

それは全く見えていないからではなく、手元の現金はよくわかる(通帳を見れば分かります)。

そして将来の資金需要もなんとなく見えている。

こんな状態が最もたちが悪いわけです。

先ほどのToDoリストじゃないですが、頭の中だけだと、
資金需要の時間軸がごっちゃになっていたり、
入出金のタイミングがちゃんと計算できていないので、
「なんとなく不安」が先行してしまうわけです。

◆資金繰り表を作成してみる

だから解決策も簡単です。

「資金繰り表」を作るだけです。

「資金繰り表」というと難しく考えがちですが、要は足し算、引き算だけの「お小遣い帳」と一緒です。

しかも計算はエクセルがやってくれます。

資金がそれほどひっ迫していないのであれば、ザックリ月度でつけるだけでOKです。
しんどい会社は日別につけることをお勧めします。

2ヶ月も付ければ、将来予測も簡単になります。

以前、家族経営で全く経理の知識のなかった社長の奥様に、エクセルの資金繰りシートを渡して、2週間おきに電話でフォローしていきました。
2ヶ月もすれば、全く問題なくつけれるようになりました。

これで大まかな資金の流れを半年ぐらい見極めれれば、すぐに冷静さを取り戻して通常の仕事に戻れます。

仮に「資金が足りない」ということが明確になれば、それはそれで対策をするしかありません。

先ほどご紹介した築山さんの本にも書いてありますが、人は行動に意識を向けたときが、頭の中で考えているよりよっぽど気が楽になるそうです。

見えない敵に脅えている平家のことを笑っていられるのは他人事だからです。

自分のことも冷静に考えれば、もっと正確な情報を取ればいいじゃないの?と思えるはずです。

それでは良き週末でありますように。

※追伸:
もし資金繰り表のフォーマットが必要であれば、お問い合わせください。無償でエクセルの表をお渡しいたします。
特に売込みはしませんので、ご安心ください(笑)

 

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