任せても人は育たない

先日、ある経営者の方らから
「現場を任せているのですが、うまく行きません」
というご相談を受けました。

その方は現場の成長を促すために
自分が口出しをしないようにしていたそうです。

いつまでも自分が現場にいたのではいけない、と
気づいた点は素晴らしいと思います。
それだけ任せられない社長が多いのです。

よく本やセミナーなどで
人を育てるには「任せないといけない」
と言われることが多くあります。

この任せる、という所だけ真に受けて
本当に任せてしまうとかなり
大変なことになります。

正しい方法は「任せて関わる」です。

これはすべてのマネジメントに言えることです。

任せっぱなしで人が育つなら、
こんな簡単なことはありません。
これはある意味「丸投げ」です。

現場が未熟であればあるほど
関わりは深くならざるを得ません。

現場の人材が成長すればするほど
関わりの頻度は下がってきます。

社長自身が現場で営業を行っている場合、
いきなり管理職を立てて、
現場との関わりを下げるわけにはいきません。

自分が管理職を兼務して現場を育て、
その中から管理職を抜擢して、
始めて経営の仕事に専念できます。

その工程をすっ飛ばそうとして、
外部から管理職を連れてきて、
任せてしまうと、管理職以下の仕事が
ブラックボックス化します。

今いる社員に任せっぱなしにするのも
基本的には同じです。

しかも業績が良かったりすると、
上手くいっている気がして、
気が付いたら取り返しのつかない
ことになっているケースがあります。

もう5年も前ですが、
支援を頼まれて訪問した会社では、
任せっきりにしていた管理職がいなくなってから
1年が経っていて現場がボロボロで、
訪問してから1か月で倒産した会社もあります。

それぐらいマネジメントの仕組みを
理解しないまま放置することは危険です。

「うまく行っている」中身を理解していないのは、
「うまく行かない」理由が分からないのと
同じぐらい危ないのです。

よく営業の現場などで、
どういうツールが必要か?
ということが聴かれます。

それは、現場と関わりを継続できる
コミュニケーションツールになっているか?
という点がポイントになります。

単に提出させて終わり、
監視のためだけの報告書などは、
誰のためにもならず、苦痛になるので、
やめておいた方が良いですね。

提出させたものを元に、
関わりやすくなる、
コミュニケーションがとりやすくなる
というものが必要なのです。

質問しやすくなる、
相手の状態を確認しやすくなる。

この辺りが重要です。

【今日のポイント】
任せて関わるためのツールや仕組みはできていますか?