一人の能力の限界


おはようございます。
ビジネスを数値で「見える化」するコンサルタント、長野謙です。

「ヒストリエ」というアレクサンドロス大王のの家臣、エメネウスという人を主人公としたとても面白い漫画作品があります。お勧めなんですが、なんといってもとても作品の進みが遅く一冊の漫画が出るのに2年近くかかります。気長に付き合う気のある人以外は手を出さないほうが良いかもしれません。

 

◆強い兵よりまとまった部隊

古代マケドニアのフィリッポス2世(アレクサンドロス大王のお父さん)は、理想のマケドニア軍には英雄、豪傑はいらない、と言っています。能力の突出した兵のいる部隊と、一方で、一人だけ能力が劣った兵がいる部隊があり、そこで兵全体が能力の低い兵に合わせて戦う部隊と、この二つを戦わせると不思議に後者の部隊のほうが勝つことが多いそうです。

要は、個々の力を頼みにばらばらに戦う組織と、全体で一つとして総合力で戦う組織では全体で戦う組織のほうが強い、ということです。それを知っていたフィリッポス2世は英雄豪傑はいらん、と言ったのです。それよりも全軍共通の装備、共通の動きで一つ一つの部隊が一つの生き物のように動くことを好んだそうです。

◆ビジネスでもバランスを欠いた組織は弱い

似たような話は今のビジネスの世界でもあります。例えば、中小企業では社長の力が突出しており、それがある時点までは企業成長の推進力になるのですが、ある時点を過ぎると逆に成長の足かせになります。そのある時点、というのが売上規模が1億円ぐらいまでなんです。

なので、この1億円ぐらいまでの規模までに、ある程度営業面、社内の業務面で社長のやり方を標準化しないと、その後必ず苦労します。俺がやったほうが早い、というのはとても気持ち的にわかります。でも人材の底上げをして、全体のバランスを取ったほうがはるかに上手く回りますし、業績も上がります。

フィリッポス2世はやはりただものではなかったんです。部隊が一つのものとして機能することに異常にこだわったのは、結局そのほうが強い、ということをよく知っていたのでしょう。彼はツール(武器)にもこだわります。共通のツールが能力の平準化に役に立つのでしょう。

個人の力頼み、というのはどこかでひずみが出るものです。息子のアレクサンドロス大王は言わずと知れた戦いに強い王様でしたが、一人で突っ込むあまり瀕死の大けがをすることもあったそうです。また彼が死んだとき、国の内側の組織は何も手がつけられていないがゆえにばらばらになってしまいます。

働きすぎで倒れてしまう社長や、営業が強くても内側のサービスが整わない会社と重なる部分がありそうです。

さて、よりよい会社作りのために今日も頑張りましょう!

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