「朝令暮改」と「目的地」の関係

事業の数字にこだわっていくとその先に人の動きがあります。
売上を取るために売上のことを考えていても売上は上がりません。
数字にこだわるからこそ、そのプロセス、そして社員の役割、動きにこだわります。
中小企業の経営者のための経営コンサルティングをおこなう長野謙です。

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「朝令暮改」は昔の中国で朝出た法令が夕方には改正されると言った事態が、一般の民にとってあてにならないため、改善すべき事として出た言葉です。

あまり良くない言葉、ということです。

でもそれって会社経営でもそうか?というとそうでもないと私は思っています。

◆より良い方法があれば変わるのは当たり前

私が以前勤めた会社で、経営者が前の日に話した内容と全く違うことを翌日に言っていて「?」と思うこともありました。
でもよくよく考えてみると、納得ということが良くありました。

目的地に着くまでにどういった手段を使うのか、ということを考えれば、より早く目的に達するためにより良い方法をとるのは当たり前です。

各駅停車の電車より、急行があればそれを使うだろうし、新幹線が使えることが分かれば、飛行機が・・・というようにもし当初の予定より良い手段があれば、それを使うのは当たり前でしょう。

まあ、予算というものもあるので、お金と相談というのは経営に決まったことではないですが。

また、あえて青春18切符で旅行したい、という人がいればそれは経営ではなく、恐らく趣味の世界だと思います。

◆どの階層でそれをしているのか

問題はその「朝礼暮改」をどの階層で行うか?という点です。

①経営理念:会社の存在意義、なぜ我々は存在するのか
②ビジョン:5年後、10年後、経営理念を体現してどのような会社になっているのか
③戦略:どのようにビジョンを達成するのか。シナリオ、ストーリー
④戦術:戦略を実現するための手段
⑤環境:手段を実行するための実務環境

戦術=手段で朝令暮改が起こるのは、良いことだと思います。

優秀な経営者の方はどちらかというと、せっかちで行動が早い。そして間違っているとわかったらすぐに方向転換します。

この繰り返しの中で成功する方法を見つけ出し、会社の成長に結びつけています。

戦略でも時には間違っている、と判断した時は変更もあり得ます。ビジョンも時とともに変わることがあるでしょう。

でもコロコロ変わるのはそもそもそれはちゃんと考えたビジョンか?戦略か?ということになります。

経営理念も変わることはあるでしょうが、これがコロコロ変わる会社はそもそも、顧客を含む関係者に信用されません。

◆「行き先」がしっかりと見えているか?

問題は、経営理念やビジョンがしっかり定まった中で、「朝令暮改」が行われているか。

また経営理念やビジョンが定まっていても、そのことがしっかり社員に伝わっているか。

この点が明確でないと、社員は右往左往して、最後は「どうせすぐ変わるから」というように受け身の仕事の仕方になります。

行き先が決まっていない、共有できていない中で、乗り物の変更だけ伝えられていても社員は不安でしょうし、自分たちの力を発揮する機会を見出せません。

「社員が自分から動いてくれない」という嘆いている社長はこの辺りを見直すと良いと思います。

行き先が明確であれば、「朝令暮改」だろうとさして問題ない、どころかより良い手段を見つけるのはかえって良いことだと思うのです。

では明日も良き1日でありますように。

 

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