仕事に人を付ける


「優秀な人材が欲しい」というのは

経営者の方らかよく聞く話です。

結構切実だったりします。

「優秀な人」の定義が曖昧ですが、
ここでは自分で状況を判断して
仕事を進めることが出来る人、とします。
事務処理能力の高い人、でもいいです。

仮に、もし自分の会社に優秀な人材が来たら
何をさせるのでしょうか。

もし、任せたい仕事が明確で、
仕事の手順も、期待する成果も明確だ、

という状況でなければ、止めておいた方が良いでしょう。

なぜか、というと仕事が丸投げになるからです。

丸投げになってもその優秀な人は与えられた仕事をして
現場を上手く運営してくれるかもしれません。

でもその人がどのように上手く現場を回しているか、
経営者である皆さんは明確に理解できるでしょうか。

中小企業に限らず経理で不正が多いのは、
そこで何が行われているか社長が理解できていないからです。

業務がブラックボックス化してしまっているからです。

特に数字に苦手意識を持っている経営者は多く、
経理を任せきりにしているケースはとても多い。

これと同じことが他の現場でも起きています。

経理と違うのは、お金という目に見えるものではなく
損失が見えにくいということです。

社員が何をしているか分からないから、
「忙しくてできませんでした」と言われてしまうと
何でそんなに忙しいんだ?と疑問を持ちつつ
「出来るはずだ」と言えなかったりします。

これがまた社長のストレスになります。

「優秀な人に来てほしい」というのは
そうしたストレスを無くしたい社長の願望です。

もしうまく現場が回り、社長のストレスがなくなっても
その優秀な人が抜けると、途端に収集が付かなくなります。

その結果、倒産せざるを得なくなった会社も
見てきました。

それぐらい業務のブラックボックス化というのは
怖いことなのです。

優秀な人材を求めるのは否定しませんが、
何をさせるのか、
業務内容、手順、そして期待する成果と責任。

これが言葉にできていない、ということは社長も
社員に何をしてほしいか明らかじゃない、
ということです。

それを優秀な人材で埋めようというのは、
楽なようで、あとで大きな負債が乗ってきます。

逆に上記のようにやらせることが明確であれば、
普通の人で十分回るのです。

「人に仕事を付ける」ではなく「仕事に人を付ける」
これが大切です。

【今日のポイント】
自分で言語化できない仕事を「優秀な人材」に任せない。